専門分野は,認知科学・実験心理学・教育工学です.
人間同士や人間と人工物とのインタラクションの特性の理解やシステムを用いた人間の支援に興味を持って研究をしています.その中でも,これまでは,コンピュータを用いた協同学習支援(Computer-Supported Collaborative Learning)に関する研究を中心に取り組んできました.
また,現在では,メンタルヘルス支援に関する研究も行っております.
研究アプローチとしては,(1) 人間の「心」の働きを認知科学的に検討し,(2) 明らかになった「心」の働きをモデル化,(3) 明らかになった「心」の働きや認知モデルの知見を応用して人間の支援を行うシステムの開発し,実験室実験による検討を行っております.

コンピュータを用いた協同学習支援(Computer-Supported Collaborative Learning)
学習においては,さまざまなプロセスが生じ,学習に関わるプロセスを促進させ,学習成果を向上させることが求められます.たとえば,ICAP理論では,他者の知識に基づいた推論を行うInteractiveというプロセスがより学習成果に繋がることを明らかにしています.私は,特に協同学習プロセスに着目したプロンプト提示手法と学習に関わるプロセスを促す実例学習の有効性を検討しております.

協同学習におけるプロンプト提示手法による学習効果の検討
協調的と論争的なプロセスの促進
下條 志厳・林 勇吾 (2021). 協同学習おけるコンセプトマップを用いた説明活動のファシリテーション 協調的プロセスと論争的プロセスに着目した検討 認知科学.
Interactive-Constructive-Active-Passive (ICAP)の促進
下條 志厳・林 勇吾 (2024). ICAP理論に基づいた協同学習支援のためのプロンプト提示手法に関する実験的検討 認知科学.
他者の知識との差異の促進
下條 志厳・林 勇吾 (2024). 外化された自己-他者の知識の差異への気づきの促進:協調的な説明活動の支援に関する実験的検討 電子情報通信学会論文誌D.
協同学習における実例提示による学習効果の検討
Erroneous example
認知モデル(ACT-R)を用いたシミュレーション
メンタルヘルス支援システムの開発
若者ではキャリア,高齢者では孤独に関する不安が大きく,メンタルヘルス支援の必要性が指摘されています.その中で,カウンセリングの会話に基づいたカウンセリングシステムが求められています.私は,特にカウンセラーが行う非構造化面接における会話の解明やそれに基づいたカウンセリングシステムの検討をしております.

傾聴カウンセリングにおける自己開示によるメンタルヘルス改善効果の検討
会話分析を通した会話モデルの開発と評価
下條志厳・横光健吾・林勇吾 (2024). 大学生のキャリアに関する臨床カウンセリングの対話分析:傾聴システムの開発に向けた検討 電子情報通信学会技術研究報告.
カウンセリングシステムによるメンタルヘルス改善効果の検討
VRを用いたカウンセリングシステムによる解決志向アプローチ
下條 志厳・王 凱・木内 敬太・林 勇吾 (2024). 解決志向アプローチを用いたVR版傾聴エージェント:高齢者のメンタルヘルスと印象評価に関する検討 日本認知科学会第41回大会発表論文集.